頭はバランスの中心
前庭バランス調整法は、脳が頭の位置を判断する前庭感覚を調整する新しい治療法です。
前庭感覚は、あなたの運動感覚のひとつで、バランスに貢献します。脳は、頭の位置を基準に、視覚や前庭感覚、筋肉などの感覚を使って自分の体の姿勢や動きをコントロールしています。
前庭感覚が狂うと、脳は頭の位置を間違って認識してしまい、他の感覚と誤差が起きることで様々な問題が発生します。誤差が大きなときは、まっすぐに立っているのに傾いているように感じて目が回り、立ってられなくなることもあります。これが「めまい」や「ふらつき」です。
本来なら頭は傾かない

頭には、目や耳のように体のバランスを取るセンサーが集まっているので、本来傾いても自然とまっすぐになるはずです。
試しに目をつぶってだれかに頭を傾けてもらって下さい。わずかな傾きでも認識できるはずです。そのくらい、頭は傾きに敏感なのにもかからわず、知らぬまに傾いているひとがたくさんいらっしゃいます。
なぜ傾きに気付かないのか?
最近の研究で、前庭感覚を生み出す前庭器(三半規管や耳石器)は、左右で働き具合に違いがあることが分かってきました。左右差があればめまいやバランス障害が起こるはずですが、脳が調整しているので、ほとんどの場合で障害を感じません。しかし、完全には調整しきれないため、わずかな傾きの癖として習慣化します。そのような生活を続けると、しだいに傾きが大きくなってしまいます。
どんな問題が起きるのか?
めまいを感じないほど誤差が小さいときでも、自律神経や首、顎、目の神経に影響して肩こりや首の痛み、眼精疲労、頭痛、動悸、胃腸の不調、顎関節症などの症状を起こす原因の1つとなります。

頭が傾いてしまうことで、疲れやすくなったり、首や肩の筋肉の緊張が強くなり、そこから頭痛や耳鳴りなども起こすことがあります。自律神経と強い結びつきがあるので、立ちくらみや動悸、食欲不振、下痢便秘、消化不良などの症状や、脳が常に働き続けるため慢性的な疲労やストレスがおきます。前庭感覚の弱い側では、関節を伸ばす筋肉の緊張が弱まるので、体全体の歪みもみられるようになります。
調整の進み方
前庭バランス調整の施術は、「頚椎アジャスト(調整)・前庭刺激・バランス課題」を軸として、頭や視覚の傾き、立つことの安定度、体の位置感覺などを整えるものです。

初回は、検査をした上で、左右の大脳バランスの施術からはじめます。経験豊富なセラピストが、穏やかな圧力を加えます。2回目には、血液循環、3回目には頚椎を施術します。その結果、首の動きのパターンが刺激され、多くの利益がもたらされます。関節の安定、筋肉のアンバランスが減少し、痛みは和らぎ、前庭刺激を受け入れる準備が整います。

4回目以降は、状態に合わせて頚椎アジャスト・前庭刺激・バランス課題を順次行います。
5回の施術を1クールとし、6回目に再評価をしてバランスの改善具合を確認します。結果が良ければ調整は完了し、よいバランスを維持するためのメンテナンスを月に一回くらいのペースで受けることをお勧めしています。
前庭バランスを改善する5つの技術
技術1 前庭神経活性化
神経細胞の生理的な働きで、適度なノイズ刺激を与えると神経の反応が良くなる確率共振という現象を利用します。
技術2 頚椎調整
頭の傾きでズレてしまった頚椎を動かし、自由に動けるようにします。デリケートな頚椎を安全に調整するため、その専門的な技術であるカイロプラクティックを使います。
技術3 眼球調整
頭の傾きに合わせて目の位置もずれてきます。ほとんどの場合は前庭バランスが整うと、自然に目の位置も元に戻りますが、ずれが残るときは調整する必要があります。
技術4 頭蓋骨調整
頭が傾いてずれた顎の位置や頭蓋骨表面の筋肉の緊張を取り除きます。
技術5 内耳リンパ処置
前庭器のなかを満たしているリンパ液の代謝が悪くなると、その粘性が変化して前庭バランスを崩す原因となります。耳周辺の施術で循環を良くして、代謝が滞らないよう処置します。
元気な体を取り戻すには、本気で治したいという患者さんご自身の意思が必要です。
治療内容をよくお読み頂き、納得の上でご来院下さい。
アスリートのパフォーマンス向上
近年、多くのアスリートが体幹トレーニングによって成績アップに成功しています。手足の運動は、強い体幹があってはじめてその力を発揮する、という考えに基づく体幹トレーニングには、ひとつの盲点があります。
それは、「体幹は動きを予想できない」という事実です。
「動きを予想する」というのは、走ったり投げたりする意識的な運動のスイッチが入る以前に、手足がどう動くのかを予想して体幹の筋肉がコントロールされていることがわかっています。このような働きを、「予測的姿勢制御」といいます。

この予測が正確にできないと、効率的で安全な体幹コントロールも不可能になります。運動の予測には、その場の変化に即時的に対応するために体の位置情報が必要です。体の位置は、視覚、筋や関節の情報、前庭感覚によって知ることができます。中でも、前庭感覚はバランスの変化を素早くキャッチする優れたセンサーです。前庭系がブレると、正確なコントロールができなくなります。その結果、せっかく鍛えた体幹の力が十分に発揮できないということになります。
そこで、アスリートに知っていただきたいのが 「前庭感覚を正常化すれば体幹機能をが向上する」ということです。
前庭感覚にブレがあるかかどうかは、テストによって評価することができます。
当院では、前庭感覚のブレを見つけ、正常に近づけるよう前庭バランスを調整します